精一杯の背伸びを
「人間に戻ったんだから話せ。吐き出したほうが楽になるんじゃねぇの?」
お風呂に入って、ご飯をしっかり食べたら荒んだ気持ちが楽になった。
今なら話せる。
私はぽつりぽつり、順を追って話した。
話終えて、しばらく沈黙が続く。
榊田君を見ると、何とも微妙な顔をしている。
「くだらないでしょ?こんなくだらないことで、ずっと閉じこもってるなんて馬鹿みたいって思うでしょ?」
自分を嘲るような笑みを浮かべる。
「水野にとっては最悪な事態なんだろ?」
「うん。最悪。仁くんにあんなこと言うなんて。よりによって仁くんの前で」
涙が出そうになって、慌てて天を仰ぐ。
「なぁ?お前さ……」
榊田君はそこで言葉を止めた。
私が榊田君に視線を移すと、真剣な眼差しで私を見ていた。
「何?言って。聞きたい」
彼は一度、ぐしゃぐしゃっと頭を掻いて私に視線を合わす。
「前々から思ってたけどな。お前ちょっと異常だぞ?仁、仁ってそればっかし。何でも仁を中心に物事を考えてる。どれだけ、べったりなんだよ?」