精一杯の背伸びを
いつもの私を
アルバイトは夕方からだったから、お昼前から都心に出てみた。
都心は駅も街も混雑していて、正直一人で行く気はしなかった。
だけど数日引きこもっていたから、雑踏に紛れるのが良い気分転換に思えたのだ。
都心で一人で買い物をするのは初めてだ。
おいしいものを食べて買い物するのは楽しかった。
試着室でワンピースに袖を通す。
等身大の鏡に映る私はしっかり笑えていた。
化粧はしたから、泣いてできた隈は隠せてる。
ただ若干腫れているのが気になるが他の人にはわからないくらいだ。
色んなお店をまわっていたら、あっという間に時間は過ぎた。
そろそろアルバイトに行こうと駅へと向かう。
帰りは、どこの改札から入ってもたどり着けるから迷子の心配もない。
駅に近づくほど人通りは激しくなる。
雑踏の中で、広君を見つけたのは奇跡だった。
広君なら運命とでも言うのだろうか?
彼女だと思われる人と一緒にいたから声はかけない。
改札を入って、電車を待っていたところで呼びかけられた。