精一杯の背伸びを



 仁くんは私を特別に思っていてくれている。


 だから無理をした。


 私の彼への態度はあからさまさだ。


 彼が気づかないはずはない。


 私の気持ちに気づいていて、ここまで気にかけてくれている。


 それなら、可能性はゼロじゃない。


 ダメでも、また頑張れば良いだけのこと。


 歩みを止めなければ報われる日は必ず来る。


 絶対に諦めない。


 諦められない。















 短い冬休みはとにかく忙しく動き回った。


 仁くんのことばかりで堕落していてはそれこそ良くないと。


 彼のことを考えないようにがむしゃらに動いて振り払った。


 バイトは連日だったし。


 年末だから友達と忘年会と称して遊んだりして。


 一人になった時、仁くんのことを考えてしまうのは仕方がない。


 だから、何かをやって少しでも、あの日の出来事を忘れたかった。


 あの日の彼の呆れた顔をとため息を思い出すだけで、身が竦んだ。


 全身を絡み取られるような感覚で息も出来ないほど。


 その光景を思い出しては私は会いに行けずにいた。





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