イケメン弁護士の求愛宣言!
「はい……。タケシくん、バイバイ」

小さく手を振ると、優しく振り返してくれた。

とにかく、名刺はバッグに入れておこう。

家には来島先生の連絡先のメモもあるし、タケシくんのもとりあえずはしまっておかなくちゃ。

一歩先を足早に歩く真斗さんに、思い切って声をかけてみた。

「真斗さん、研修はもう終わったの?」

「終わったよ。このビルのオーナーから呼び出されたから、まっすぐこっちへ来たんだ。最後に由依子に会ってビックリだけど」

淡々と話す真斗さんは、振り向きもせずひたすら歩いていく。

そのうちにはビルを出て、近くのコインパーキングへ入っていった。

そこには、ひときわ目立つ高級車が停まっていて、それが真斗さんのものだとすぐに分かった。

「乗って」

無愛想に助手席のドアを開けた真斗さんは、すぐに運転席に乗り込んだ。

気まずいまま密室というのも息苦しいけど、話をするのにはいいかもしれない。

「マンションに寄るから」

ぶっきらぼうに言った真斗さんは、そのまま車を走らせた。
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