イケメン弁護士の求愛宣言!
彼は跡取り息子
私が勤める内野法律事務所は、中心部から少し外れた閑静な場所にある。

近くには有名女子高校や、病院などがあり穏やかな雰囲気だ。

そこに独立した事務所を構えていて、レンガ色の外壁と、日当たりのいい大きな窓が特徴的な建物。

それ自体は平屋建てで隣に駐車場があり、そこは弁護士先生たちの高級車がズラリと並んでいる。

「おはようございます」

いつものように出勤すると、事務所内が珍しくざわついていた。

先生たちは、通常はそれぞれの案件を抱えていて、みんなで話をする感じじゃない。

それなのに今朝は、みんなで輪になってなにか話をしているようだった。

「耶恵(やえ)さん、何かあったんですか? みなさんで集まっている割には、内野先生がいらっしゃらないし」

一年先輩の同じ事務員の耶恵さんに尋ねると、デスクのイスを寄せてきた。

耶恵さんも転職組で、今年30歳になる気さくな女性。

小柄で目鼻立ちも小さめな彼女は、一見するとおとなしめに見えるけど、実は芯が通ったしっかり者だ。

ついでに言えば、外資系証券会社に勤める彼氏がいて、かなり羨ましい。

そんな彼女が、しかめっ面をして私に言ってきた。

「もう! 由依子ちゃんてば忘れてるの? 今日は、内野先生の跡取り息子さんが戻ってくる日じゃない。先生たちは、その話でもちきりなのよ」
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