イケメン弁護士の求愛宣言!
エプロンがふたつあるのは予備として、とか、包丁さばきがかなり上手、とか、朝のほんの数分の料理で真斗さんの新たな面を発見する。

それが嬉しいような、複雑なような……。

「真斗さんが作ってくれた味噌汁おいしい。小松菜とかえのきとか、切るの上手なのね……」

結局、朝ごはんのほとんどを真斗さんが作ってくれて、私は言われたとおりに火加減や水の量の調整をしただけだ。

味噌汁に鮭の焼き物、卵焼きにご飯と純和食のメニュー。

どれもこれも適度に薄味でおいしい。

だけど、やっぱり自分で作れなかったのが残念で、テンションが上がらない。

「苦手だった卵焼き、真斗さんに教えてもらったから、今度は私が作るね」

ダイニングテーブルで向かい合って座っている真斗さんに、ほとんど負け惜しみの気持ちでそう言うと、苦笑いされてしまった。

「ごめん、由依子が作るって言ってくれてたのに、つい調子に乗ってしまった」

「ううん。それは、いいのよ。むしろ、真斗さんの手料理が食べられて嬉しいもの」
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