イケメン弁護士の求愛宣言!
それは本当だけど、やっぱりご飯を作れなかったのは、女子としてどうなんだろう……。

そんな自己嫌悪に陥りながら伏し目がちになっていると、ふいに唇が重なって、慌てて顔を上げた。

すると、テーブルに身を乗り出して、控えめな笑顔を浮かべる真斗さんの姿がある。

「由依子とふたりで料理なんて嬉しすぎてさ、つい夢中になってた」

「真斗さんってば……」

油断しているときのキスって、かなりドキドキする。

顔の火照りを感じながら呆然とする私に、真斗さんは笑みを向けて座り直した。

そして、なにごともなかったように、ご飯を食べ続けている。

その大人な余裕に、自分の子どもっぽさを痛感して反省だ。

「そうよね、ふたりでいることが大切なんだわ」

こうやって、真斗さんと一緒にいられるということで、じゅうぶん満足なはずなのに。

自分がなにかをしなきゃって、少し気負ってたかもしれない。

独り言のようにつぶやいた言葉だったけど、真斗さんは応えてくれた。

「そうだよ。ふたりでいるってことが大事なんだ」

それもまるで独り言みたいだったけど、私は自然と表情が緩んでいた。
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