イケメン弁護士の求愛宣言!
こういうとき、同じ業界の仕事をしていて良かったと思う。

だって、彼を助けてあげられるから。

真斗さんが大変なときは、それを少しでもいいから分かち合いたいと本気で思っていた。

すると、真斗さんはゆっくり立ち上がると、ドア付近に立っている私の側へやってきた。

そして、いつもの優しい笑みで見つめている。

「ありがとう、由依子。でも、今回は少し複雑なんだ。教えてあげたいけど時間はないし、気持ちだけ受けとっておく」

「えっ?」

一瞬茫然とする私の唇にキスをした真斗さんは、「おやすみ」とだけ言って机へ戻った。

辞書や既成資料を開き始めた彼を見て、そっと部屋を出る。

邪魔はできないから、仕方なく寝室のベッドへ入ったけれど、頭はガンガンに冴えていた。

せっかく、真斗さんと同じ法律事務所に勤めていて、しかも法学部まで出ていて、さらに同棲までしているのに力になれないなんて……。

そのことにショックで、頭の中でいろいろ考えてしまう。

「複雑って言ってたし、単に私の勉強不足なのかも」

そう思ったら、ふと来島先生に誘われたことを思い出していた。

真斗さんたちの同期会、とても行くつもりになれなかったけど、やっぱり行ってみようかな……。

もしかしたら、私にとってもいい勉強になるかもしれない。
< 249 / 301 >

この作品をシェア

pagetop