イケメン弁護士の求愛宣言!
それまでの先生たちの冷やかし半分の会話も消え、室内はシンと静まり返った。

せっかく和やかな雰囲気ができそうだったのに、突然張り詰めた空気にたじろいていると……。

「そうだよ。こうでもしないと、美織はまともに話を聞かないだろ?」

まるで冷ややかな真斗さんの声が聞こえてきて、私はさらに血の気が引いてくる。

挨拶ばかりで座る機会を失い、未だ入口付近に立ったままの私たち。

修羅場から逃げたい気持ちすら芽生え始めると、美織さんは速い歩調でこちらにやってきた。

それも真斗さんの目の前で止まり、口を固く閉ざして眉間にシワを寄せて睨んでいる。

ふたりから目を離せない私は、内心ハラハラしながら真斗さんの隣に立っていた。

すると……。

静かな部屋に突然響いた乾いた音に、思わず目を丸くする。

なぜなら美織さんの右手が、思い切り真斗さんの頬を叩いたからだ。

他の先生たちも、呆気に取られてこちらを見ている。
< 280 / 301 >

この作品をシェア

pagetop