イケメン弁護士の求愛宣言!
だけど当の真斗さんはまるで動揺する素振りもなく、興奮気味に顔を赤くしている美織さんを無言で見つめていた。

「最低よ、真斗」

声を震わせる美織さんは、泣き顔こそ作っていないけど、普段見せている『デキる女』とは違ってすっかりひとりの女性だ。

「美織にどんな風に恨まれたっていい。だけど、お前とふたりで会うわけにはいかないから」

素っ気ない真斗さんの言い方に、相手が美織さんといえど気の毒になってくる。

赤くなった真斗さんの頬と同時に、美織さんの反応も気になってしまった。

「どうしてなの? いくらなんでも、みんなの前でなんて、あまりにも酷すぎるじゃない……」

とても口が挟めない状況だけど、さすが美織さんはそれ以上感情的にはならず、少し口調が落ち着いてきた。

個人的にはイヤなイメージしかない美織さんだけど、そんな部分は素直に感心してしまう。

「由依子に、誤解をされると困るから」

「え? 蒼井さんに?」

キッパリと言いのけた真斗さんに、不謹慎ながらもときめいてしまった。

きっと今の言葉には、いつか耶恵さんがカフェでふたりを目撃した、あの出来事を意識して言ってくれたと思うから。

ようやく私も、真斗さんを少しずつだけど理解できた気がして嬉しかった。
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