イケメン弁護士の求愛宣言!
彼の気持ちに応えられないなら、せめて早く言うべきだった。

タケシくんは、優しく許してくれたけど、罪悪感でいっぱいの私は頭を上げられないでいる。

すると、彼の穏やかな声が聞こえてきた。

「コンパの夜、由依子ちゃんを帰したオレの負けだったってことか」

「え?」

いったい、なんの話だろうと思わず顔を上げると、タケシくんは小さくため息をついていた。

「内野先生と出会ったのは、その後だったんだろ? もしあの日、オレが由依子ちゃんを引き止めていたら、なにかが違っていたかもしれないんだなって思ってさ」

「タケシくん……」

そう言われると、余計に切なくなってくる。

『もし、あのとき……』と考える後悔は、私も幾度となくしてきたから。

「だけどオレは、由依子ちゃんを引き止めるどころか、傷つける言葉を吐いた。それなのに、かたや内野先生はつまずいた由依子ちゃんを助けた。話を聞いていて、完敗したと思ったよ」

「タケシくん、それは私にも悪いところがあったから……」

そう言いかけた私に、タケシくんは手で優しく制した。

そして私に、「婚約おめでとう」と言ってくれた。
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