イケメン弁護士の求愛宣言!
「そうなのか。ここは駅近で便利だし、一時帰国して購入したんだよ」

サラッと言った真斗さんは、私の腕を軽く掴み『こっちだよ』と言うように促す。

それにつられて歩き出しながら、私はまたも驚きで彼の横顔を見上げた。

「わざわざ、一時帰国してまで買われたんですか? たしかに、かなり高級マンションみたいですよね……」

記憶を辿っていけば、マンション内にフィットネスルームがあったり、コンシェルジュがいたりすると、書いてあったような言っていたような……。

だから、かなり自分とは違いすぎてビックリしたんだった。

外観はケバケバしくなく、むしろかなりシンプル。

グレーが基調の建物には、余計な飾りは一切ない。

それだけに、中がどんな感じなのか妄想が膨らみそうだ。

「どうしても、駅近にこだわりたくてさ。前に住んでたのは賃貸だったし、そろそろ自己所有のマンションを持ってもいいんじゃないかと思ってね」

「そうなんですか……」

そろそろっていってもまだ三十歳だし、真斗さんて独身だし、なんでそう思ったんだろ。

マンションができたのは三ヶ月前だけど、販売はもっと早くからあっただろうし……。

そうなると、もしかして元カノと付き合っていた頃と重なる?

たしか真斗さんは、半年前に彼女と別れたって言ってなかったっけ?

もしかして、彼女と暮らすことを視野に入れて、マンションを買ったってことも、あり得なくはない……。

そんな想像をしたら、とたんに胸がざわつき始めた。
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