イケメン弁護士の求愛宣言!
駅からは近いけど、私の住むアパートは最寄り駅からは不便。

中心地まで歩いて戻って、そこからタクシーを拾おうかな。

そんなことを考えながら走って駅裏まで行くと、足を止めた。

「逃げるように来ちゃった……」

途中、「由依子ちゃん‼︎」と叫ぶ真斗さんの声が聞こえたけど、振り向くことすらできなかったのが心苦しい。

罪悪感と嫉妬心を持ちながら、改めて辺りを見回す。

大通りの裏にあたるこっちの通りは、同じ『駅前』でもだいぶ静かだ。

店が少なく雑居ビルばかり。

ところどころ茶髪の若者がたむろっていて、大声でバカ騒ぎしていた。

「さっさと抜けてしまおう」

足早に抜けようと思った瞬間、

「ねえ、待ってよ。ひとり?」

と突然腕を掴まれた挙句、声をかけられた。

振り向くと、二十代半ばに見える男の人がふたり、ニヤニヤしながら私を見ている。

ふたりとも髪が金髪のような明るい色だけど、黒髪と混ざって品がない。

いかにも『軽そう』な彼らは、戸惑う私の腕を強引に引っ張り始めた。

「ねえ、週末の夜にひとりなんて退屈だろ? オレたちとどっか行かね?」
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