サムライ・ファイト ~S・F~vol.1
 
SFにはルールがある。生きるか死ぬかだ。コロシアムの上では命をかけて戦う。武器は何でもあり、相手が死ぬまで戦う。どちらか一方が負けを認めれば敗者は後日切腹をいたす。それがSFの掟。そんな世の中を変えようと、人の命の重さを伝えようと、そしてこの国から侍をなくそうと、一人の男がSFのトーナメントに参加したのだが…この男…はてさて大丈夫なのだろうか?


「わああああ」歓声が上がる。大歓声の中この男はあきれ顔で周りを見回す。

(あ~あ、そんなに見たいかねぇ~人の首がぶっ飛ぶところ)

(あ、あそこの客!飯食ってる!しんじらんね)

(…しかし、こいつ話なげぇなぁ…まあ、いいや。早く終わんねぇかな…)



「SFファンの皆様!全日本の皆様!ただ今より1回戦を行います!青コーナー△△大名 播磨慎之助!!」


リングアナウンサーの開会宣言が始まると同時に大歓声が上がる。


「わああああ!!」 「早く!!」 「頑張れよ!」 「楽しみ!」



「赤コーナー 初出場!蛮次狼!」


(……………)


この男、蛮次狼は浪人である。コロシアムの客は浪人が嫌いなのだ。 客はほとんど金持ちばかり。金持ちの道楽。そして幕府、あるいは大名側の人間である。今まで浪人がSFで勝ち残った者はいない。コロシアムの客、いや日本中の誰もが当然蛮次狼の首が飛ぶところを見たがっているのだが…


この男 蛮次狼…しゃんがんで相手を見上げているではないか。はてさて、どうなる? 蛮次狼!






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