恋が都合よく落ちてるわけない
車の中で寝ていた陽子さんを起こし、
車のエンジンをかけた。

気分的には、奏の事なんか置いてすぐに出発したい。私が運転席にいるのを見て、奏はあわてて中から出てきた。

窓ガラスをドンと叩いて、
私に出ろと命令した。

「まだ、千鶴の部屋の鍵かけてない」

奏にそう言われて、部屋の鍵をかけて、
車まで戻った。
陽子さんが後ろの座席を占領してたので、仕方なく助手席に座る。

奏は車をバッグさせるとき、私の耳のすぐ近くまで顔を近づけた。

「今度は逃がさないから」

私は、振り返らずに頭突きした。

「痛っ、危ないじゃないか」

「ちゃんと運転してよ」
いつの間にか、陽子さんが起きて、
後ろのシートから顔を出して言った。

落合君は、陽子さんにナビでルートを説明しこれでいいかと確認していた。

「陽子さん、代わってよ」

「駄目よ。奏くんあなたを隣に乗せたくて付いてきたんだから」

「それより何で軽井沢なの?」と奏。

「みんなそこにいるし、
週末のドライブにはいいじゃない?」
陽子さんが答えた。

「西川さんも?」

「ええ」
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