恋が都合よく落ちてるわけない
「今は、私にとって大事なのは、
仁志さんだけだし」

私は、仁志さんにキスしようと近づいた。

ハッキリとは言えなかったけど、
仁志さんを好きな気持ちを、
もっと伝えたいと思ったから。

「悪い、今、そんな気分じゃないんだ」


えっ…

と言われて、きっぱり拒絶された時のショックの大きさは半端じゃなかった。


ここまでちゃんと言ったのに?


どうしよう


拒絶されて、
初めて仁志さんに、どれだけ会いたかったのか、どれだけ触れたかったのか気がついた。


彼の腕はいつでも、私を待っていてくれて、抱きしめてくれると思っていた。

なのに、仁志さんのしっかりした腕は私を近づけまいと、しっかりブロックしてる。

しばらく待ってみた。けど、仁志さんのしっかりした太い腕は、緩まる気配もない。
私は、あきらめて言った。


「食事置いていきますね」

私が部屋を出ようとしたときには、彼はベッドに横たわって、そのまま動かなくなった。

これって…
私、ふられたんだろうか…
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