恋が都合よく落ちてるわけない
私は、部屋のカーテンを開けた。


窓からの明るい日差しで、
部屋が一杯になる。日が高くなって来た。
風で枝がなぎ倒され、折れている街路樹が見える。

私は、
チラッと時計を見る。



もう、帰っても大丈夫だろう。
さすがにもう、あきらめて帰ったはず。



初めて夜をいっしょに過ごした時、
合鍵まで渡してしまったことを
後悔してる。



そうなるまで、彼は、
自分が結婚してることを言わなかった。
私は、まだ信じられずにいる。


「私、そろそろ行くね」

さっと化粧をして、身なりを整える。



須田さんは、近付いて来て、
私の身体を、自分の方に引っ張り込むと、ぎゅっと抱きしめる。

首筋にキスされて、ピクッと反応した。
須田さんは、面白がって何度もキスした。


「私は、深雪さんじゃない」

ぐうっと、唸る声…
須田さんは私から、離れた。

深雪効果は絶大で、須田さんは、
それから近付いて来ない。



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