恋が都合よく落ちてるわけない
「新しい恋愛!!」
「何ですか、それ」
「いいな。
千鶴ちゃん、僕もまだ独身なんだけど」
私は、やんわりと微笑んで返した。
「さ、行きましょう。というか、か駅すぐですね。一人で帰れます。それじゃ」
「ちょっと待ってよ。東京まで送るから。一緒にでよう…」
専務に車に乗るのは断って、駅まで歩く。
「あっ、ちょっと待って、
車止めて来るから」
「専務、ご馳走さまでした」
専務が何か言うのも構わず、歩き出した。
「ああ、ダメ、行っちゃ…」
私は、専務に手を振った。
せっかく来たんだから、寄り道して帰ろうかな。駅の構内に掲示された路線図を見た。
行きたいとこなんて、どこにもない。
やっと、告白できたと思ったら、いきなりふられた。
「切符まだ、買ってないのか?」
いきなり、腕をつかまれた。
ふりほどいたけど、声の主は、
私の腕を、しっかりつかまえて離さなかった。