恋が都合よく落ちてるわけない

後ろから、首筋にキスをする。
仁志さんの体が緊張して、固くなるのがわかる。

私は、仁志さんの体をぎゅっと抱きしめる。
仁志さんは、はねのけはしないけど、
私に触れるのは、嬉しくなさそう。

体を固くして、じっと耐えてるようにみえる。今は、誰よりもあなたの事が好きだと伝わるように。

もっと強く抱きしめたら、
気持ちを開いてくれるかな?
強く抱きしめても、
仁志さんは、頑なに何かを
拒絶するようだった。

夜の食事は、
豪華で普通なら、忘れられない夜
になるはずなのに、
話しかけるのは、私ばかりで、
彼はほとんどうなずくだけ。
美味しい食事以上に、私の事はどうでもいいのかな…

しゃべってるのが悲しくなる。

部屋に戻る帰り道、
星のよく見える空を眺めた。

私は、仁志さんの腕に
自分の腕をもう一度巻き付けた。
巻き付けられた腕は、するっとかわされた。
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