恋が都合よく落ちてるわけない
「ねえ?」コピーのついでに、
実加が話しかけてきた。
「千鶴、その須田さんって人のこと…
探してるの?」と実加
西川さんのことがあってから、実加は私のことを心配して、気づかってくれる。
ただ、それが実加には、心配なことは全部調べるということになるのだが。
「探してないよ。会いたいとか、
そういう訳じゃないから」
ははあ、と笑って誤魔化す。
「そうなんだあ。
でも、気になるんでしょ?
社内の人だよね?格好よかった?
他にも聞いて見るよ」
あわてて取り消す。実加にかかったら、
会社中、全フロアに問い合わせそう。
「いや、そんなのいいから」
「いいよ。いつも世話になってるし。
そのくらい遠慮しないの」
いや、調べたいのは実加の好奇心でしよ。
「本当に違うから。好きとか嫌いとか」
まずい、実加に何言っても通じない。
須田さんとはなんともないから。
多分…
「会いたいんでしょ。顔に書いてある」
顔に書いてある…
私は、実加の言葉に驚いた。
「そんなこと、あるはずないよ」
「でも、顔色いいし、艶も出てるよ」
そうなの?
でも、会いたいのは、別の人だよ実加。