恋が都合よく落ちてるわけない
「千鶴さん、
仁志は、あなたにベタぼれだから、
多少行動が変でもわかってあげてね」
「ベタぼれはないと思います」
変わってるのはそうだけど。
すぐ私のこと担ごうとするとか…
深雪さんのことも?
って聞こうとしたけど、
彼女の上品さを見て、
バカげた愚問だと口の中に押し留めた。
「深雪?」
キレイな人だ。
こんなキレイな人なら、
須田さんじゃなくたって好きになる。
私は、須田さんと深雪さんを交互に見る。
「仁志、お前ちゃんと、
千鶴さんに説明しておけよ」
岡崎さんが須田さんに向かって言った。
「説明?」
須田さんは、気に入らぬえって、
顔てで返事をする。
「大島さんのIDが、
振り込みに使われたって、嘘だろ?」
「俺は、千鶴のIDで
振り込まれたとは言ってない」
「だってさ、千鶴さん」
岡崎さんが気にしてくれた。
「ありがとうございます」
笑顔で返す。
「気安く呼ぶな」
「お前が曖昧なこというから、
彼女が不安になるんだ」
そうなんだ。
「不安にさせたなら、悪かったな」
「それと、夜間の保守の呼び出し、
すぐに対策立てろよ」
「岡崎さん、その話…」
しなくていいっていいましたよね。
「なんだ?」
「何でもありませんから」
「仁志には言いたくないって」
くっくっと笑う。
岡崎さん完全に須田さんで遊んでる。
「千鶴さん、保守の仕事してるの?」
「はい」
「じゃあ、誰もいないフロアに、
こんな可愛い人が現れたら、
仁志じゃなくても、
なんとかしようと思うでしょう」
「何があった?」
二人とも煽るのは、止めてください。
「何でもありません」
「後で聞く」