恋が都合よく落ちてるわけない
須田さんの母親は、私が顔を見せると、
頭の先から、足元までじっくり観察した。

二人ともこじんまりとして、
二人並ぶと可愛らしい。

私は、須田さんを見た。
この二人から、
どうして、こんな大きな息子が
生まれたのか不思議だ。


「大島千鶴と申します」
頭を下げて挨拶をする。


「仁志の母です」
同じようにお辞儀をしてくれた。


私は、その様子を横で見ていた、
二人にも丁寧にお辞儀をして、
部屋の中に入っていった。


両親の部屋は、息子とは違って
一般的な作りになっている。


「千鶴さん、さあ、ここに座って」


にこにこ顔のお父さん、
寝てたとはいえ、
ひどい姿を見られて、
お父さんの顔を見るたびに赤面しそう。




食卓には、朝御飯の用意がされていた。
塩鮭に玉子、納豆、お味噌汁

二人とも、どうみても2度めの食事なのに、思いっきり朝食っぽい。

とってもいい人達だと思う。


須田さんも、
気がついて笑いをこらえている。



「千鶴さんは、兄弟は?」
須田父はにこにこしながら、
聞きたいことをずばっと聞く。


「兄が二人います」

私の答えに、満足げにお互いを見合って二人でうなずく。

須田父は続ける。

「仁志と同じ会社で働いてると…
仕事は続けるのかな?
例えば…その…結婚しても」

「どうなるかわかりませんが、
そのつもりです」





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