恋が都合よく落ちてるわけない
「もう、遅いから、
下へ行って休みなさい」

須田父がそう言ってくれたので、
私たちは仁志さんの部屋へ行った。

須田さんは、寝室で着替えてリビングの私のところまできた。

「おやじは鍵があると、
不便だと言ってたけど」


「外したら泊まらない」


「だろうな」


「千鶴?飯は食べてたよな…」
私は、もう要らないと答えた。


「あなたは?まだなの」


「千鶴が先…だけど、ちょっと、
いまのもう一度言って…」
須田さんが、近づいてきた。


「まだなの?」


「それもいいけど…違う」


「なんだっけ…」


「夫婦になったら、何て呼ぶんだ」



「おとうさん」



「却下。不正解だから、ボタンを外す」
勝手にゲームを始めた。

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