恋が都合よく落ちてるわけない
「うん」珍しく気遣ってくれた。
仁志が私の体をぴょいと抱き上げる。
「まあ、どっちでもいいけど」
「何が?」
彼が私の質問に答えるのは、無理そうだ。
彼が力尽き、私の上に覆い被さってきた。
「何を聞いたの?」
「ああ、安全日かって…」
「うそ。ちゃんと聞いてよ」
体を起こそうとしたけれど、
仁志さんに阻止された。
彼の体の一部がまだ、私の中にある。
「わかった」
と言って私の体を引き寄せる。
「ちょっと…待って」
「だめ、離してやんない」
「こんなのだめ。ちゃんと話そう」
「何で、あんなガキにチョッカイ
かけられてるんだ?
セクハラされないために、
対策立てたのに、
何であんなやつが、
毎日、千鶴の横に居るんだ?」
「口だけだよ、彼は」
「何、言ってるんだ?
家に来いと言った時、
すごい顔で睨みやがった。
こっちも、ざまあみろって顔してやったけど」
「私の知らないところで、
二人で何やってたの」
「もう少し、気をつけて。警戒しろよ。
っていうかもうこのまま家から
一歩も出ないでくれ」
「そんなの無理…」
「奏と口きくな。見るな。近寄るな」
余裕だったんじゃないの?
あの時はそう見えたけど…
「だめ…」
仁志さんが力を入れる。
「はい。っていうまで許さない」