恋が都合よく落ちてるわけない
私は、
言われた通り彼女の後についていった。
薫子さんの部屋は、
女の子の部屋というよりは、
機能的で、本棚を見ると、
会計士の勉強をしていた
のがすぐわかる。
「千鶴さん、私、聞きたいことがあるの」
「ええ、どうぞ、何でも聞いて下さい」
「兄を見てれば、
あなたにベタぼれだってよくわかるわ。
だから、兄と真剣に付き合うかどうか、
知りたいの」
「お兄さんとは、
真剣に付き合ってます。
いい加減な気持ちじゃないです」
「あの女もそう言ったのよ。
誰だかわかるわよね?」
「深雪さん」
「もし、
あなたが兄を傷つけるようなことしたら、許さない。話しはそれだけ」
「お兄さんのこと、好きなのね」
「ええ。なので今度は容赦しないわ」