恋が都合よく落ちてるわけない
あの時も…
こんなことを言っていた。

「プリンターの位置遠いですね」

「ああ、この間のレイアウト変更が
最悪でね」
私は、近くにプリンターをために、場所を確保し、床下の配線を少しかえた。

「へぇ、まだこんなの床下にあるんだね」

オフィスの床は二重構造になっていて、
電機系統の配線やケーブルが通っている。

私は、業者の人と一緒になって、
配線を確認していた。
這いつくばって中をのぞいていると、

「床下のプリンセスだね」
西川さんは私のことをそんな風に呼んだ。



そして、あの時も…

「何かあったら、須田を頼るといい。

僕の床下のプリンセス」

西川さんは、普段、そんなことをいうようなロマンチストではない。

ロマンチストじゃなかったら、何でそんなこと言うんだ!!

床下に目を向けさせたいのだろうか?
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