あなたの音に――――


うまくいってないんだろうな。
そう感じた最初は、確か私が中学の真ん中辺りだった。

母が何を話しかけても、父の返事は素っ気なかったし。
父が何か話しかけるときも、母は素っ気なかった。

お互いがお互いに興味をなくしている。
そんな感じだった。

会話のない食事が続き、それが当たり前になった頃、食卓に父の姿はほとんどなくなった。
残業や会社の付き合いだって言うけれど。
ただ、母と一緒にいることに耐えられなかったんだと思う。


じゃあ、私とは?

訊きたかったけれど、恐くて訊けなかった。



特に大きな喧嘩があったわけじゃない。

ううん。
私が知らないだけかもしれない。

だけど、私の前で二人の間にあったのは、冷たい空気だけ。
会話らしい会話がない毎日の中で、私は冷やされていく冷凍庫みたいな家の中で、凍えてしまわないように必死だった。

私が笑ったら、どうにかなるかもしれない。
私が二人の間に立って会話を繋げれば、冷蔵庫ぐらいにはなるかもしれない。

そう思って頑張ってみたけれど、凍えないようにするのが精一杯で、気がつけばカチンコチンになっていた。



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