あなたの音に――――
小さな頃。
私を間に挟んで手を繋ぎ、笑いあっていた光景がフラッシュバックする。
二人の笑顔が好きだった。
顔を覗き込まれると、くすぐったかった。
繋いだ手に安心していた。
ずっと続くと思っていた幸せな家族の毎日は、気がつけば容赦なく私の前からなくなっていた。
続く優しい旋律。
心を撫でてくれるような、労わるようなその音に、不覚にも視界が滲んだ。
「ばかっ」
自分に向かって、小さく呟いた。
泣いたって何も始まらない。
頑張っても結局カチンコチンになったけど、それでも歯を食いしばるしかないんだ。
だってこれは、こんなのは、よくあること、なんだから……。
顔を上げて、前を向くんだ。