王子様は青春の中にいる
1章 田舎娘、都会に行く
1:田舎娘の誤算
【1章 田舎娘、都会に行く
1:田舎娘の誤算】
「このコスメ、口コミ良くない?」
「あ、そこのいいらしいよ~。
ねーちゃんのお気に」
「マジ!? 買っちゃおうかな~、高いけど。
服も買いたいし~、バイト増やす?」
ひとつの机を囲んで、何やらオシャレな話をしている。
女子力。
それが女子力というやつなのか。
私は聞き耳を立ててるのを悟られぬよう、意味もなくカバンの中を探った。
HR前の教室は、男女問わず挨拶と笑い声が飛び交っている。
テストも夏休みも間近に迫る7月。
転校してきて、1週間。
私、戸高陽菜(とだか ひな)は友達作りに完璧に失敗していた。
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