王子様は青春の中にいる
1章 田舎娘、都会に行く

1:田舎娘の誤算


【1章 田舎娘、都会に行く
 1:田舎娘の誤算】


「このコスメ、口コミ良くない?」

「あ、そこのいいらしいよ~。
ねーちゃんのお気に」

「マジ!? 買っちゃおうかな~、高いけど。
服も買いたいし~、バイト増やす?」


 ひとつの机を囲んで、何やらオシャレな話をしている。

 女子力。

 それが女子力というやつなのか。

 私は聞き耳を立ててるのを悟られぬよう、意味もなくカバンの中を探った。

 HR前の教室は、男女問わず挨拶と笑い声が飛び交っている。


 

 テストも夏休みも間近に迫る7月。

 転校してきて、1週間。


 私、戸高陽菜(とだか ひな)は友達作りに完璧に失敗していた。
< 1 / 24 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop