王子様は青春の中にいる
「補習?
テストまだなのに?」
今朝佐伯先生から言われたことを話すと、きょとんとしながら、冬華ちゃんは聞き返してきた。
「前の高校と進みが違うくて。
このままだと赤点必須って言われちゃって」
私は笑いながら、目をそらす。
たった1週間ではあるけれど、冬華ちゃんが頭がいいであろうことは察していた。
授業で当てられた時とか、小テストの結果とか……隣だからね、チラッと見えちゃうんだよね。
「そうだったの。
隣なのに気づかなくてごめんね。
もし、授業でわからないことがあったら聞いて?
私、勉強は得意だから」
微笑みながら、頼ってねと冬華ちゃんは言った。
「ありがとう……!」
友達、できたかもしれない。