王子様は青春の中にいる

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 日が落ちるのが、すっかり遅くなったなぁと窓から見える空を見て思った。

 放課後の教室には、今日一日の授業から解放感が溢れていた。


「今日、カラオケ行かね?
新曲入ったんだよ、まじ歌いてぇ!」

「おー行こうぜ! 
その前に腹ごしらえしない?」

「はいはーい! おごりなら、私も行く!」


 飛び交う声はすべて私の頭上を超えていく。

 前の学校では、私だってこの開放感に浸っていたのに。


 今この時間が、すごく嫌だった。
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