王子様は青春の中にいる
教室にいる人数がまばらになった頃に、私は席を立った。
人間関係ができている中に入るのは難しい。
最初こそ話しかけてくれた子達はいたけれど、気づけば挨拶程度になっていた。
靴箱に着くと、なぜか人が群がっていた。
私の靴箱に行くには、その中をひとり突っ切るしかない。
それは、結構きつい。
もう少し人が減るのをどこかで時間を潰して待とうか、と思い階段を上っていたときだった。
「だから、付き合ってください!」
その人がきの向こうから、少し上ずった女の子の声がした。
階段を再び登ろうとしていた私は、その方向に思わず視線を向けた。