歪な愛のカタチ
ガチャっと音とともに由佳が出てきた。

「ちょっと、いきなり出てこないでよ」

僕はびっくりして由佳にタオルを投げつけた。

「いいじゃん、減るもんじゃないし」

由佳はそう言って笑った。

「それ普通男の台詞でしょ?」

そう言うと由佳は小さく舌を出して笑った。


「じゃぁ、僕シャワー入ってくるね」

そう言うと由佳はくるりと後ろを向いた。


「私ここにいるから」

そう言った。

僕は「わかった。」とだけ返事をしてお風呂場に入った。

熱いシャワーを浴びるとさっき竜也さんに言われたことが頭の中をぐるぐると回る。

シャワーとシャワーの音で涙と泣き声をかき消してくれたらいいのに。

涙はなかなか止まってくれなかった。
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