歪な愛のカタチ
「なんて告白したの?」


由佳が聞いてきた。胸がチクリと痛んだ。

「キスして好きだって伝えた…」

「なんて言われたの?」


そう言われ僕の唇は震えた。

「き、気持ちわりぃって言われた…」

声も震えていたと思う。


「なにそれ!」

由佳は激怒した。

「男が男を好きなんて気持ちわりぃって…」

僕はそう言うとまた涙を流した。

「気持ち悪くなんかない!隆ちゃんは気持ち悪くなんかないよ!」

そう言って由佳は僕に抱きついた。

布一枚越しに由佳の体温やら感じている筈なのに全然いやらしい気持ちになんかならなかった。

「ムカつく!その男殴ってやりたい!隆ちゃんに酷いこと言って傷つけた!」

由佳は僕の胸に引っ付きながらそう言った。


「由佳、もう大丈夫だから」

僕がそう言うと、「隆ちゃんの嘘つき!そんな顔して大丈夫なんて」

ベッドの横の鏡を見ると僕の目は真っ赤に腫れていた。


「ねぇ、由佳?」

「なに?隆ちゃん?」

「今日はずっと一緒にいてくれる?」

「言ったじゃん、大丈夫じゃないときは一緒にいるって」

「あれ本当だったんだ」そう言うと

「私は嘘つきません」そう言って笑った。

僕たちはベッドに寝転び手を繋いだ。

二人して涙が止まることはなかった。
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