歪な愛のカタチ
「隆ちゃん、お風呂沸いたから入って」


由佳が着替えを渡してくれた。


「お兄ちゃんの着替えでごめんね」


由佳のお兄さんは由佳より3つ上で一人暮らししながら大学に行っているので家にはあまり帰ってこないらしい。


「お先にお風呂頂きます」


そう言ってお風呂を借りた。

さっきは笑っていたけど、辛いだろうな…。
3歳から一緒にいたって言ってたもんな…。

僕はそんなことを考えていた。

髪と身体を洗ってお風呂を出た。


由佳の部屋に戻ると由佳はやっぱり泣いていた。


そっと由佳の頭を撫でた。


「隆ちゃん、辛いよぅ…」

そう言った由佳を優しく抱きしめた。


「隆ちゃん、いい匂い…」


「由佳んちのシャンプーとボディーソープだよ」

そう言うと小さな笑い声が聞こえた。


「私も入ってくるね。」

「うん。行ってらっしゃい。」


由佳はお風呂に入りに行ったけど、やっぱり泣くんだろうな…。

そう思うと胸が痛くなった。
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