~Still~
唇につけたシャンパングラスをそれ以上傾ける事が出来ずに、エレナは目の前の男の顔を凝視した。

この20分前……。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

あ……!

神谷颯太は店の入り口に眼を止め、小さく息を飲んだ。

あれは…。

颯太は瞬きを忘れて、食い入るように城田エレナを見つめた。

漆黒で、緩やかなカーブを描く長い髪、小さく形のよい輪郭に、アーモンド型のゾクッとするくらい美しい眼。

颯太は思わずエレナの後ろを見た。

……今日は、独りか?

それとも、待ち合わせか?
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