~Still~
「ビックリしましたか?」

悪戯っぽい颯太の眼がキラリと光る。

……やられた!

「もうっ!心臓が止まるかと思った!バカッ!」

キッと睨むと颯太は笑うのをやめ、微笑みを残したまま口を閉じた。

「離して」

片方をエレナの後頭部に回し、もう片方の手でエレナの両手首を束ねて掴み、颯太は甘くエレナを見つめた。

颯太の大きな体を感じて、エレナは目眩がしそうだった。

「離しません」

バクバクと、瞬く間に音をたてる心臓がうるさくて、エレナは焦った。

「離さないなら、また蹴るわよ」

「この状態でですか?」

完全に上に乗られて脚さえも動かない。
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