~Still~
颯太は学生時代、非常にモテた。

スラリとした長身に端正な男らしい顔立ちが、女子を虜にした。

社会人になってからは、そこに経済力がプラスされ、常に女性から声がかかる。

颯太はそれも楽しかった。

割りきった関係は後腐れがなく、一晩の相手と思いきり肌を重ねるのは、刺激的だったからだ。

颯太はエレナの寝顔を見つめながら、六年前を思い出した。

『お前、歳いくつ?』

『二十歳』

『君は?』

『もうすぐ18』

『エレナ!』

『なに』

『お前に惚れた!俺と付き合ってくれ』

『何で自分より頼りない、学校サボるような不良と私が付き合わなきゃなんないの?私があんたみたいなガキっぽい男を好きになる訳ないでしょ』

ピシャリと断られた六年前。

颯太は肩を揺すった。

「エレナ」

懐かしく、眠るエレナを小さく呼んだ。
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