~Still~
第三章

愛してる

エレナは柔らかくて固くて、それでいて温かいものに包まれて目覚めた。

ゆっくりと眼を開けると、目線より少しだけ上に、颯太の寝顔があった。

閉じた眼と、軽く結ばれた唇。

そこから聞こえる息遣い。

自分に回された逞しい腕。

嬉しくてフワリと浮くような感覚。

エレナは颯太にすり寄ると、彼の首筋に口付けた。

……ん……?

颯太は首筋にしっとりと軟らかい感覚がして、眼を開けた。

「エレナさん…おはようございます」

「ごめん、私、昨日話してるうちに眠っちゃったみたいで」

颯太はクスッと笑うとエレナの髪を撫でながら言った。
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