~Still~
キッチンへ近づくにつれて、エレナの独り言が聞こえだした。

……独り言は英語なんだな。

そりゃそうか。

日本語は流暢に話すが、彼女はアメリカ人だ。

そういや、この間店に来たときも、散々英語で悪態をついていた。

……多分、エージェントの社員の、ジョーイにだ。

微笑ましく思いながら、ペラペラと英語で話し続けるエレナをみていたが、やがてフライパンから煙が上がり、焦げ臭いにおいが広がった。

「エレナさん、焦げてます」

颯太の姿を捉え、エレナは、

「えっ?!Oh my god!」

エレナが実にアメリカ人らしい言葉とリアクションであったから、颯太はゲラゲラと笑った。
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