~Still~
颯太は慎重に問いかけた。

「エレナさん……飲んでみましたか?」

「飲んでないけど」

不味い。

驚くほど不味い。

颯太は、笑いが込み上げるのを必死で押さえながら言った。

「飲んでみてください」

言いながら、自分の持っている器に味噌汁を注いで、エレナに渡した。

「…………まずっ!!」

日本語でそう言い、それから英語で小さく呟くと、エレナはガックリと項垂れた。

颯太は弾けるように笑った。

「料理、苦手なんですか?」

「お味噌汁を作ったのは、人生で初めて」
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