~Still~
「出汁は入れましたか?ここに顆粒の出汁があります。それと、味噌はどれくらい入れましたか?なんだか、お湯みたいですけど」

「…………」

エレナは眼を閉じて、微動だにしない。

まるで修行僧のようだ。

……この様子じゃ、出汁は入ってないし、味噌もティースプーンに一杯程度か。

颯太はそんなエレナが可笑しくて、我慢できず、天井を仰いでゲラゲラと笑った。

「笑いすぎ!」

真っ赤になってこちらを睨むエレナの腰を抱き寄せて、颯太は彼女の眼を覗き込んだ。

「大丈夫です、エレナさん。出汁と、味噌を足せば。……目玉焼きは、僕が作ります。今度はハムエッグにしましょう」

「フライパンの中、よーく見て」

「なんですか?」
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