~Still~
「いいでしょう。是非伺うと、返事をしてください」

颯太はスマホをポケットに入れ、立ち上がった。

数本でもいい。

一種類でもいい。

神谷酒造の酒を、一人でも多くの人に飲んでもらいたかった。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「エレナさん」

「颯太くん!おかえり!」

「ただいま、エレナさん」

午後八時、颯太は帰宅すると、リビングのソファにカバンを置き、エレナの体に腕をまわして抱き寄せた。

「ご飯食べた?」

「まだです。エレナさんは?」

「まだ」

「じゃあ、何か食べに出ますか?ちょっとだけ待ってもらっていいですか?僕シャワー浴びてきます」

「ん」

エレナが頷くと、颯太は身を屈めてエレナの唇にキスし、優しく微笑んだ。

「何が食べたいか考えていてください」
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