~Still~
10分後。

「エレナさん」

エレナが振り返ると、Vネックの黒いシャツとお洒落なジーンズに身を包んだ颯太がニコッと笑った。

「お待たせしました。行きましょう。何が食べたいですか?」

「颯太くんは何が食べたい?」

大きな瞳で、エレナは颯太を見上げた。

……俺が食べたいもの?

「……僕ですか?そうですね……」

エレナは真顔で、颯太の答えを待っている。

なんだ、この顔は。

めちゃくちゃ真剣な顔じゃないか。

颯太はクスッと笑った。

途端にエレナの眼が真ん丸になり、それから少し拗ねたようにツンと横を向いた。
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