~Still~
「なに」

「いえ、可愛かったので」

「は?」

「やっぱりご飯の前に」

「……きゃあっ」

颯太がエレナの腰を掴んだかと思うと軽々と抱き上げ、肩に担いだ。

「やだ、なにするのよっ」

「抱きたい、エレナさんを」

「もうっ!」

背中をポカポカと殴るエレナが可愛くて、颯太は笑った。

「暴れてもダメです」

寝室のドアを開けてエレナをベッドに下ろすと、長い髪がふわりと揺れた。

颯太はベッドに膝をついてエレナの瞳を至近距離から見つめた。
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