~Still~
「だって、私アメリカ帰るし、まだ、メインキャストになってない。シェリル・シーマと共演だって果たしてない」

そんなエレナを見て、亜子はアイスティーを一口飲んでから口を開いた。

「じゃあ、神谷颯太を諦めるわけ?あの、わざっとらしい、高宮って女にくれてやるわけ?」

「遠距離恋愛になるけど、仕方ないね」

咲希は、エレナに取られたフォークに、エレナのパンケーキを刺して自分の口に入れた。

「遠距離恋愛は、しない」

「なんで!?」

綺麗にハモった二人を見ず、エレナは行き交う人々に視線を移しながら答えた。

「絶対、私耐えられないと思うんだ。猜疑心に苛まれて、死にそうになる。やっぱり、怖いの。近頃、思うんだ。
私が相手を信じられないのは、相手が年下かどうかより、私の心の問題なのよね。私に、ケイレブの仕打ちを乗り越える力がないんだよ。
だから、私と遠距離恋愛なんてすると、彼を苦しめる事になる」
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