~Still~
皆が一斉に声のした方向を見つめ、エレナは全員の視線を一気に浴びた。

キャップを目深にかぶり、自分達よりはむしろ、少年野球に近い位置に座り込んでいたエレナを、誰も気に止めていなかったのだ。

「誰、あれ?」

「リトルリーグの付き添いじゃないの?」

「打たせてって(笑)」

「エレナさん、ホントに打つんですか?」

颯太のその一言で、メンバーが颯太を見た。

「なに、颯太の連れ?」

「なんだよ、彼女かよ」

「最初に紹介しろよ!ビックリしたじゃん」

エレナは走って皆のところまで行くと、キャップを脱いでペコリと頭を下げた。

「城田エレナです。颯太くんとは、古くからの知り合いなんです」
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