~Still~
何言ってるんだ、この人は。

……どれだけ、慣れてないんだ。

どれだけ恋愛初心者なんだ。

「もう、黙ってください」

颯太は、エレナの髪をグイッと引っ張った。

「いたっ」

「鈍感な罰です」

「ごめん……」

「ダメです」

「……ごめんってば」

「で?」

颯太の『で?』が、途切れた話の続きを催促していたから、エレナは、続けた。

「練習終わって一旦着替えに帰った時、恋人に私の名前を出したら、私の出たドラマを見たことがあって、覚えててくれたみたい。で、ハンカチにサインしてって、頼まれたの」
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