~Still~
……は?

木佐さん、彼女がいたのか!?

そんな展開だなんて、露にも思わなかった。

俺はてっきり、木佐さんはエレナの事を……。

颯太は決まり悪かった。

じっと見つめてくるエレナの眼を、まともに見られない。

「……許してくれないの?」

「……」

「颯太くん」

だめだ、なんか、自分の嫉妬加減に呆れる。

けど自分に許しを乞うエレナが、たまらなく可愛い。

六年前のあの日、俺の背中を蹴飛ばした勝ち気なエレナが、俺にこんな態度を……。

……彼女は、俺を愛してるんだ。

「明日の朝食、作ってくれたら許します」

エレナは、ホッとしたように息をついた。

「うん」

「一緒に作りましょう」

……もう、言い合いはしたくない。

あと、二週間程しか一緒にいられないんだから。
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