~Still~
「インタビュー?」

「そうかも知れません。打ち合わせは無かったので。まあ、質問に答えるだけなんじゃないでしょうか」

「分かった。じゃあ、会場で見てるね」

タクシーを降り、東京店の前まで歩いていくと、

「神谷社長、本日はありがとうございます」

凛とした声で誰かが颯太を呼んだ。

「こちらでございます」

その時、颯太がエレナを振り返った。

「エレナさん、僕の出番が終わったら、ここで待っていてください。」

エレナは軽く頷いた。

「分かった。じゃあ私、このままフェアの会場に行ってるね。頑張ってね」

颯太は係りの女性と共に従業員通用口へと消えていき、エレナは、百貨店の入り口に掲げてある『日本酒フェア6F』の文字を見つけてエスカレーターへ足を進めた。
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